いつもお世話になっているラ・フィエスタにて、うたたねPlumとのツーマンライブ。
2週間前に、オープニングアクトとして、コヤママサシの参加が決定。
ありがたいことに満員御礼のご来場者!
まずは、コヤママサシ。小山卓治さんや佐野元春さんのWersite、グッズ、フライヤー等のアートデザイナーであり、フォトグラファー。そして、自身がシンガーソングライター。
コロナ禍もあり、3年以上もライブステージから遠ざかっていたという。その間に書き溜めた曲が、ついに抱えきれなくなり、再始動を決意。
2年前に新しい相棒となった黒のギブソンを引っ提げて、白楽にやってきた。かつては、ゴリゴリのフォークロック、ブルース路線という印象があったが、オールミュートのギタープレイや、ウィスパーボイスでの歌唱など、表現の幅が広がった印象。潜伏期間に起こった身の回りの環境の変化等も楽曲に表れている。本人も久しぶりのステージを強調していたが、これを機にまたたくさんのステージに立って、楽曲を完成させていってほしい。
次回は、正式な対バンとしてどこかでイベントを作ろうと思う。
本編開始、まずは自分から。
うたたねPlumとは、昨年10月1日に、川崎TeenSpiritsで初のジョイントライブを決行。その時は自分が後だったので、今回は順番を逆にしようと提案。結果的に、その提案がイベントの流れを作った。
コヤママサシ、うたたねPlum、そしてたかまつなおきを結びつけたのは「小山卓治」というシンガーソングライター。彼の代表曲に「ひまわり」というのがある。そして、その原曲が「ガソリンタウン」
先月、小山卓治デビュー40周年を迎えるにあたり、ファン主催のトリビュートライブを開催した。そこで自分が歌ったのが「ガソリンタウン」 うたたねPlumは「ひまわり」をカバーしている。そこで、この2曲が互いのステージを繋ぐようにした。
小山卓治の楽曲は、短編小説によく例えられる。物語を、歌にして届けるストーリーテラー。「ひまわり」「ガソリンタウン」はその代表曲だ。なので、この日は自分もそういう趣向のセットリストを組んでみた。
個人的に、3月3日に自身初のバンドライブを控えている。なので、この日は特に「弾き語り」を意識した構成にもしてみた。普段あまりやらない曲を引っ張り出し、次回のバンドライブとの違いを強調させてみる。
また、昨年から、自身の弾き語りスタイルや、楽曲の解釈やアプローチの仕方を見つめなおし、より高いパフォーマンスができるよう試行錯誤している。この日は、そういう試みも織り交ぜてステージに臨んだ。
結果、うまくいったところもあれば、準備不足だったところもあり、手応えと課題の両方を得ることができた。静から動という流れ、「花」「映像」というテーマ、より質の高いパフォーマンス。
例えば、圧を高めるのではなく、いろいろなところから負荷を取り除くということ。キーを下げて歌うということに対して、ネガティブな印象を抱く人がいる。もしくは、より高音で歌える方が技術的に高いという幻想。実際、自分自身もそうだった。カラオケなど滅多に行かないが、オリジナルキーで歌うことがひとつのステイタス、のような。しかしそうではない。高音ではなく、低音の方に声の幅が広がることがあり、そのことによってその歌の良さをより表現できるという場合がある。
それは人に気付かれにくいことかも知れないが、自分のような特に歌詞とその内容に重きを置いているシンガーソングライターには極めて重要なことだと思う。これまでは、そういうことにあまり意識を置かず、ただ力任せにやってきてしまった。ここにきて、ようやくその立ち位置に付いたところ。これから、もっと磨いていきたい。
また、個人的には「ガソリンタウン」は、先日のトリビュートライヴのリベンジという意味合いもあった。途中、歌詞がすっ飛んでしまっていたのだ。今回は、全部落ち着いて歌うことができた。もうこれでこの歌を人前で歌うことはないだろう。今度からは、自分なりにこういう世界観を持つ歌を作って演じていきたい。
そして、うたたねPlumの登場。1曲目は、自分からの提案通り「ひまわり」のカバーから。「ガソリンタウン」に出ていたたくさんの登場人物から、一人の女性が主役に抜擢されて整えられた佳曲。ガソリンタウンで歌われた短い行に、奥行きが与えられる。彼女がしっとりとその世界観を表す。来場していた小山卓治ファン仲間にはよく伝わったことだと思う。小山卓治を知らない人たちにはどう響いただろうか。
うたたねPlumは、今では引く手あまたのシンガーソングライターだが、そのキャリアは決して長くない。本人曰く「何のとりえもないただの主婦」だった。
それが「カンタ! ティモール」という一本のドキュメンタリー映画と出会って人生が変わった。以下、前回のイベント時に自分が書いた紹介文を引用。
「うたたねPlum
カンタ!ティモールという映画に出会って、人生が一変。
一人でも多くの人に、映画を、東ティモールのことを伝えたい、届けたいとの思いで、映画上映会を自分で企画するようになる。
当初は、主催者として挨拶をする際、マイクを握るだけで、足も手も声も震える始末。
それでも、映画上映だけでなく、映画のテーマに沿った音楽ライブも交え、数多くのイベントを企画、運営するようになる。
そうこうしているうちに、自身でも言葉だけでなく歌でもメッセージを伝え始める。 はじめは、伴奏に合わせ歌うことから始めた。 人前で話すだけでも震える彼女。マイクを握る手に力を込めて、必死に手と足の震えを抑えた。何度も『やっぱり、無理…』と挫けそうになりながら、彼女はそれでもステージに立ち続けた。そうすることが、自分の使命だと思った。 何がそこまで自分を突き動かすのか、自分でもよく分かっていなかった。ただ、そこには、映画の主人公、アレックスという人物の心と歌という存在があった。絶望の地、東ティモールにおいて、周りの人々に歌で笑顔と希望の光を灯し続けたアレックス。
カンタ!とは、歌え!という意味の言葉である。歌うことによって、伝わることがある。歌うことで救われることがある。 細々とではあるが、上映会は数を重ね、映画を観た人の数は確実に増えていった。
そんなある日、信じられない話が届いてしまった。希望を歌い続けたアレックスが、若くして旅立ってしまったというのだ…。
打ちひしがれる思いの中、彼女はもっと自分なりのやり方で、自分の言葉で、アレックスの心を伝え、残していくことを決意。
彼女は自らギターを手に取り立ち上がった。
溢れる思いと熱意が、次々と歌詞となりメロディとなり、新しい歌として紡がれていく。 それはまるで魔法のように。
だがしかし、歌うだけでも手が震え足が震えて止まらなかった彼女。始めたばかりのギターを、人前で上手く弾けるはずがない。 それでも彼女は、ステージに立ち続けた。失敗しても、失敗すればするほど、アレックスが『大丈夫だよ』と励ましてくれるような気がした。
ひとつずつのステージに課題をもって臨んだ。 だが、欠点の克服などすぐにはできない。 歌い終わるたびに、己の不甲斐なさ、実力のなさを嘆く日々。聴いてくれた人達に『良かったよ』と言われても、なかなか素直になれない。他人の頑張りには惜しげもなく拍手を送り、感動の涙を流す彼女だが、自分に対してだけは、どこまでも容赦なく厳しかった。
『できるうちに、できることをやっておかないと後悔する』 まだ、自分は伝えたいことを伝えきれていない。歌いたいこともまだまだある。
うたたねPlum
彼女はまだまだ発展途上。 だが、それは、求道者なら誰もがそうであるように、常に現状には満足せず、究極の自己実現に向けて、高みを追い求める。
その想いは、技術やクオリティを超えて、聴く人の心を動かす。 彼女はもう立派なシンガーソングライターだ。
それでも、彼女が目指す場所はまだまだ遠く、先にある。今回のステージも、ひとつの通過点に過ぎない。しかし、このステージにしかない『彼女の中の最高』があるはずだ。それを是非体験してほしい。
それがライブだから。」
この日、彼女は「彼女の中の最高」を表現した。それから4か月余り。「彼女の中の最高」を更新したパフォーマンスだったと思っている。相変わらず口では緊張だのプレッシャーだの弱気なことを言うが、堂々とした振る舞い。この日も自分の課題に果敢にチャレンジ。そして成功もしたし、想定外のアンコールにも軽く応じた。そのあと、ミスも犯したけど、それも堂々とリカバリー。これまでの意識の高さと場数が、大きな財産となって彼女の中に蓄積されている。
ラストは、この日のイベントを締めくくるにふさわしく、小山卓治の「種の歌」を二人でセッション。満席のお客さんの暖かい声援に包まれて、イベントは無事に終了。忙しい中、この場を選んできてくれた人たちに心より感謝。そして、いつもお世話になっているラ・フィエスタにも感謝。
ラ・フィエスタでは、今後5月28日(日)に深見順也とのツーマンが決定している。久しぶりの彼との共演も今から楽しみだ。
【セットリスト】
1.Talk Togethr,Sing Together
2.美しい世界
3.帰る~こころのふるさとへ
4.誕生花
5.Rainy Night
6.情熱の青
7.ロングツーリング
8.今を生きる
9.ガソリンタウン(小山卓治カバー)
E.種の歌(withうたたねPlum 小山卓治カバー)
≪次回ライブ予告≫
2023.3.3 横須賀中央Younger Than yesterday
たかまつなおきPresents Maysico Comes Back to YTY!
Comentarios