新しい場所に移り住んでちょうど2週間が経った。
小さな車に積めるだけ荷物を載せて、ミニマムの引っ越し。
足りないものは現地調達。
その中のひとつに、冷蔵庫があった。
自分専用の冷蔵庫を買ったのはこれが3台目。(写真左の黒い冷蔵庫)
初代は、1994年大学進学を機に一人暮らしを始めたときのもの。
小さな2ドアの冷蔵庫はその後4度の引っ越しを経験。
2010年暮れまで実働17年。
一度は「終の棲家に」と思って購入した一軒家。
この時を機に、少し大きめの3ドアタイプの二代目に買い替えた。
2階のキッチンへは、内階段を通らずクレーンで吊り上げて入れた。
そこから13年間。
一度も不調に陥ることなく、ずっと中身を冷やし、凍らせ続けてくれた。
しかし、自分の転居を機に処分することに。
その時点ではまだ新居は決まっていなかったが、サイズ的に持て余すこと必至。
まだ使えるものを処分することに胸が痛んだ。
それは初代冷蔵庫の時にも感じたことだが、今回はやたらと胸が痛んだ。
自分では運び出せないため、引っ越し業者に処分を依頼。
前日までに電源を切り、中の水を抜くよう指示された。
この、コンセントを抜くという行為。
まるで、これ以上の延命治療を諦めるかのような…。
いや違うな、冷蔵庫は弱っていたわけではなく、現役バリバリに働いている。
その冷蔵庫に電源供給を断つということは。
水中で仕事している潜水士への酸素供給を断つようなものではないだろうか。
電源を断ったところで、冷蔵庫の中の冷気がすぐに失われるわけではない。
しかし、徐々に、確実に、冷蔵庫は死を迎える。
いや、死というのは違うか。
再度電源を入れればまた働けるようになるのだから。
ただ、この冷蔵庫に関して言えば、電源が再度入ることは二度と無い。
13年も経てば、中古市場に出ることもなく、リサイクル業者で処分される。
いずれにしても、自分の手で、この二代目冷蔵庫の役目を終わらせた。
そして迎えた運び出しの日。
業者の人によって手際よく準備がなされた。
一瞬、業者の人が部屋を離れたとき、思わず冷蔵庫をハグした。
これまでの感謝の気持ちと、これ以上使い続けられないことへの謝罪の気持ち。
無機質な冷蔵庫に伝えずにはいられなかった。
そして13年前と同様、クレーンで吊り上げられて外に出された。
トラックに積み込まれた後の冷蔵庫の行く先は知らない。
それから一月足らずでやってきた三代目冷蔵庫。
初代と同じく単身用の2ドアタイプ。
霜取りも手動で行わなくてはならない、至ってシンプルなやつ。
これからどれだけの付き合いになるかは分からないけど。
停電の時を除いて、四六時中休みなく働き続けてもらうことになる。
願わくば、初代・二代目と同様、長く動き続けてくれることを願うばかり。
(後日談)
この三代目、実は3週間で我が家を去った。
通電してほどなく氷ができたので順調と思ったのだがしかし、冷蔵庫のビールが冷えない。
最初は気のせいかなと思っていたが、一週間経っても一向に美味しいビールにならない。
そんなわけで、設定を変えながら冷蔵庫の中を検温。
すると最強にしても約13度と、10度以下にならないことが判明。
量販店に電話して、初期不良ということで交換してもらうことに。
配送できる日時の関係で、もう1週間我慢し、結果的に3週間で新品と交換。
現在の四代目は一月が経ち、今のところ順調に冷えてはいる。
思えば、購入時、店員の若い女性が言っていた。
保証期間の延長に際して自分が「冷蔵庫なんかそうそう壊れませんよね?」と問うと、
「でも中国(のメーカー)ですから」
おいおいおい、それは店側の人が言ってはアカンやつでは?と思ったけど。
結果的に、その人の見立ては正しかったことになる。
無事交換できたから良かったものの、1年の保証が切れた後、どこまで頑張れるか。
借家住まいだから、最低限の設備で良いと思っていたけど。
やっぱりメーカーや品質にはそれなりに拘った方が良いのかも知れない。